やけど(熱傷)について

やけどは、医学的には熱傷と呼ばれる外傷です。熱湯、油、蒸気、炎、熱くなった金属などが皮膚へ触れることで、皮膚や皮下組織が損傷します。
高温の物へ短時間触れた場合だけでなく、湯たんぽ、電気毛布、使い捨てカイロなど、比較的低い温度の物が長時間同じ場所へ接触することで、低温熱傷が起こることもあります。
やけどの重症度は、見た目の広さだけでは判断できません。皮膚のどの深さまで損傷しているか、身体のどの部位に生じたか、年齢や持病、受傷原因などを含めて判断します。
新宿かえで歯科・形成外科では、やけどの深さ、範囲、水疱、痛み、感染の有無などを確認し、洗浄、軟膏、創傷被覆材などによる治療をご案内します。入院、全身管理、植皮手術などが必要と判断した場合は、適切な医療機関と連携します。
診察で確認する主なポイント
やけどの深さ
赤みだけの状態、水疱を伴う状態、白色や黒色に変化した深いやけどなどを確認します。

やけどの範囲
損傷した皮膚の広さを確認し、外来治療が可能か、専門施設での管理が必要かを判断します。

受傷した部位
顔、手、足、関節、会陰部など、機能や整容面への影響が大きい部位かを確認します。

感染・傷跡のリスク
傷の汚れ、赤み、膿、治癒の遅れ、肥厚性瘢痕やひきつれの可能性などを確認します。

やけどをした直後の応急処置

やけどをした場合は、最初に熱源から離れ、できるだけ早く患部を流水で冷やしてください。冷却することで、熱による損傷が深くなるのを抑え、痛みを和らげることが期待できます。
STEP 01
熱源から離れる
熱湯、油、炎、蒸気、熱い器具などから速やかに離れ、熱が皮膚へ加わり続ける状態を止めます。

STEP 02
流水で冷やす
水道水などの清潔な流水で、患部を5~30分程度を目安に冷やします。痛みや熱感の程度、部位、範囲に応じて調整してください。

STEP 03
衣服は無理にはがさない
衣服の上からやけどをした場合は、衣服を着たまま流水をかけます。皮膚へ張り付いた衣服を無理にはがさないでください。

STEP 04
指輪や腕時計を外す
やけどをした部分は後から腫れることがあります。手や腕の場合は、外せるうちに指輪、腕時計、アクセサリーなどを外します。

STEP 05
水疱を破らない
水疱には傷を保護する役割があります。針を刺したり、皮をはがしたりせず、そのまま医療機関を受診してください。

STEP 06
清潔に保護して受診する
冷却後は、清潔なガーゼや布などで患部を軽く覆い、必要に応じて医療機関を受診します。

氷を直接当てない
氷や保冷剤を皮膚へ直接長時間当てると、冷却による皮膚障害を起こす可能性があります。
家庭にある物を塗らない
味噌、しょうゆ、歯磨き粉、油などを塗ると、傷の汚染や診察の妨げになる場合があります。
水疱を自分で処置しない
水疱を切る、針を刺す、皮をはがすなどの処置は、感染や傷の悪化につながる可能性があります。
広範囲を冷やし過ぎない
小さなお子さま、高齢者、広範囲のやけどでは、長時間の冷却によって体温が低下する可能性があります。

このような場合は速やかに医療機関へ

  • やけどの範囲が広い
  • 顔や首にやけどをした
  • 手、指、足、関節部分にやけどをした
  • 陰部や会陰部にやけどをした
  • 水疱が多数ある、または大きな水疱がある
  • 皮膚が白色、褐色、黒色になっている
  • 皮膚が硬くなっている
  • 見た目が深そうなのに痛みが少ない
  • 腕や脚を一周するようにやけどしている
  • 強い腫れや痛みが続いている
  • 低温熱傷が疑われる
  • 薬品による化学熱傷である
  • 電気や落雷による電撃傷である
  • 煙や熱い空気を吸い込んだ可能性がある
  • 小さなお子さまや高齢者のやけどである
  • 糖尿病や血流に関係する持病がある
呼吸が苦しい、声がかすれる、顔や口の周囲にすすが付着している、意識がもうろうとしている、広範囲のやけど、火災によるやけどなどでは、気道熱傷や全身への影響が考えられます。速やかに119番へ連絡してください。

やけどの深さによる分類

やけどは、皮膚のどの深さまで損傷しているかによって、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。受傷直後には深さを判断しにくく、数日かけて見た目が変化する場合もあります。
Ⅰ度
表皮熱傷
皮膚表面に赤み、ヒリヒリした痛み、軽い腫れなどが生じます。一般的には水疱を伴わず、皮膚の表面に限られたやけどです。

浅いⅡ度
浅達性Ⅱ度熱傷
赤みと水疱が見られ、強い痛みを伴うことがあります。適切に治療されれば、比較的傷跡を残しにくい場合があります。

深いⅡ度
深達性Ⅱ度熱傷
皮膚が赤色、紫色、白色などに見え、水疱を伴うことがあります。浅いⅡ度熱傷より痛みが弱い場合があり、治癒に時間を要し、傷跡やひきつれが残る可能性があります。

Ⅲ度
全層熱傷
皮膚の深い部分まで損傷し、白色、褐色、黒色に見えることがあります。痛みを感じる神経も損傷するため、見た目が重症でも痛みが乏しい場合があります。

痛みが強いほど深いやけどとは限りません。皮膚が白い、黒い、硬い、感覚が鈍い場合は、痛みが少なくても医療機関を受診してください。

やけどの主な原因

熱湯・飲食物
熱い液体によるやけど
熱湯、コーヒー、お茶、スープ、カップ麺、調理中の液体などによって生じます。乳幼児や高齢者では広範囲になることがあります。

調理油によるやけど
高温の油は皮膚へ付着しやすく、熱湯よりも深いやけどになる場合があります。

蒸気
水蒸気によるやけど
炊飯器、電気ポット、蒸し器などから出る蒸気によって、手や顔にやけどをすることがあります。

高温物
熱い器具への接触
アイロン、ストーブ、ホットプレート、調理器具、バイクや自動車のマフラーなどへの接触で生じます。

火炎や爆発によるやけど
調理中の着衣への引火、ろうそく、花火、火災、爆発などで生じます。気道熱傷を伴う可能性があります。

低温
低温熱傷
湯たんぽ、電気毛布、電気あんか、使い捨てカイロなどが長時間同じ部位へ触れることで生じます。

薬品
化学熱傷
酸、アルカリ、洗浄剤、漂白剤、溶剤などが皮膚へ付着することで生じます。

電気
電撃傷
家庭用電源、高圧電流、落雷、電気スパークなどによって生じます。皮膚表面だけでなく、身体内部が損傷している場合があります。

低温熱傷について

低温熱傷は、湯たんぽ、使い捨てカイロ、電気毛布、電気あんか、床暖房などが、長時間同じ場所へ触れることで起こるやけどです。
強い熱さや痛みを感じにくいため、軽いやけどだと思っているうちに、皮膚の深い部分まで損傷していることがあります。
受傷直後は小さな赤みだけに見えても、時間が経過して白色や黒色に変化したり、水疱や潰瘍が生じたりする場合があります。
湯たんぽ
就寝中に長時間接触しないよう、布団を温めた後は取り出してください。
使い捨てカイロ
肌へ直接貼らず、同じ場所へ長時間当て続けないでください。
電気毛布・電気あんか
就寝時は温度を下げるか電源を切り、長時間同じ部位を温めないようにします。
感覚が低下している方
糖尿病、神経障害、麻痺、飲酒後、睡眠薬使用時などは熱さに気づきにくいため、特に注意が必要です。

低温熱傷は見た目より深いことがあります。小さな傷でも、白色や黒色に変化している、痛みが続く、水疱や潰瘍がある場合は医療機関を受診してください。

化学熱傷・電撃傷について

化学熱傷

化学熱傷は、酸、アルカリ、有機溶剤、洗剤、漂白剤などの化学物質が皮膚や目へ付着することで生じます。接触時間が長いほど、組織の損傷が進む可能性があります。
化学物質が付着した場合は、ご自身の安全を確保したうえで、汚染された衣服やアクセサリーを取り除き、多量の流水で十分に洗い流してください。
化学物質の種類が分かる場合は、容器、商品名、安全データシートなどの情報を医療機関へお伝えください。自己判断で別の薬品を使用して中和しようとしないでください。

電撃傷

電撃傷は、電流が身体の表面または内部を通過することで生じる損傷です。皮膚の傷が小さく見えても、筋肉、神経、血管、心臓などに影響している場合があります。
感電した方へ触れる前に、必ず電源を切るなどして安全を確保してください。意識障害、胸痛、動悸、呼吸困難、けいれんなどがある場合は、速やかに119番へ連絡してください。
電撃傷は時間の経過とともに症状が明らかになることがあります。軽い傷に見えても、医療機関を受診してください。

当院で行うやけどの診察と治療

傷の洗浄と状態確認

やけどをした部位を洗浄し、汚れ、異物、水疱、剥がれた皮膚、壊死組織、感染の兆候などを確認します。

軟膏による治療

やけどの深さや傷の状態に応じて、皮膚の保護、炎症の軽減、感染への対応などを目的とした外用剤を使用します。

創傷被覆材による保護

傷を適度な湿潤環境に保ち、外部の刺激から守るため、傷の状態や滲出液の量に合う創傷被覆材を使用することがあります。

水疱の処置

水疱は原則としてご自身で破らないでください。大きさ、部位、汚染、破損の有無などを確認し、医師が必要と判断した場合に処置します。

壊死組織への処置

深いやけどで壊死した皮膚がある場合は、治癒や感染管理のために、壊死組織を取り除く処置が必要になることがあります。

痛みへの対応

やけどの深さや範囲に応じて、鎮痛薬などを使用することがあります。

専門医療機関との連携

広範囲のやけど、深いやけど、顔・手足・会陰部の重度熱傷、気道熱傷、化学熱傷、電撃傷、植皮や入院管理が必要な状態では、熱傷専門施設や総合病院をご案内します。

やけど治療の流れ

STEP 01
受傷状況の確認
いつ、何によって、どのくらいの時間やけどをしたか、冷却などの応急処置を行ったかを確認します。

STEP 02
やけどの診察
深さ、範囲、部位、赤み、水疱、感覚、血流、感染の有無などを確認します。

STEP 03
傷の洗浄
患部を洗浄し、汚れや異物、剥がれた皮膚などを確認します。

STEP 04
必要な処置
水疱や壊死組織の状態に応じて、必要な処置を行います。

STEP 05
軟膏・創傷被覆材
傷の深さや滲出液の量に合わせて、軟膏や創傷被覆材を選択します。

STEP 06
ご自宅での処置方法をご説明
洗浄、軟膏、ガーゼ交換、入浴、運動などについてご案内します。

STEP 07
定期的な経過確認
傷の深さは経過とともに変化することがあるため、上皮化するまで傷の状態を確認します。

STEP 08
傷跡の管理
傷が閉じた後は、色素沈着、盛り上がり、ひきつれなどを確認し、必要な傷跡治療をご案内します。

治療中の注意事項

傷を清潔に保つ

医師の指示に従って患部を洗浄し、軟膏や創傷被覆材などで保護します。汚れた手で触ったり、傷を強くこすったりしないでください。

水疱や皮膚を無理にはがさない

水疱や傷を覆っている皮膚を無理にはがすと、痛み、出血、感染などにつながる場合があります。

自己判断で薬を変更しない

市販薬や以前処方された軟膏を自己判断で使用すると、傷の状態に合わない場合があります。処方された薬を指示どおりに使用してください。

感染の兆候を確認する

赤みが周囲へ広がる、腫れや痛みが強くなる、膿や悪臭がある、発熱するなどの場合は、感染が起きている可能性があります。

通院を途中で中断しない

表面が小さく見えても、やけどが深い場合があります。傷が完全に閉じ、傷跡の状態を確認できるまで、指示された間隔で受診してください。

やけどの傷跡について

浅いやけどでは傷跡をほとんど残さず治る場合がありますが、治癒後に赤みや色素沈着が残ることがあります。
深いやけどや治癒までに時間がかかった傷では、傷跡が赤く硬く盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイド、皮膚が縮んで動かしにくくなる瘢痕拘縮が生じる場合があります。
赤み
傷が閉じた後も、一時的に赤色やピンク色が残ることがあります。
色素沈着
炎症や紫外線の影響によって、治療部位が茶色や褐色に見える場合があります。
肥厚性瘢痕
傷跡が赤く硬く盛り上がり、かゆみや痛みを伴う場合があります。
ケロイド
傷の範囲を越えて、赤く盛り上がった傷跡が広がる場合があります。
瘢痕拘縮
傷跡が縮み、関節や口、まぶた、手指などが動かしにくくなる場合があります。

傷が閉じた後は、状態に応じて保湿、紫外線対策、テープ固定、圧迫療法、外用薬などをご案内します。関節付近の深いやけどでは、ひきつれを防ぐための運動や専門的なリハビリテーションが必要になる場合があります。

治療に伴う主なリスク・合併症

痛み・腫れ
受傷や処置の影響により、痛み、腫れ、熱感などが続く場合があります。
水疱・びらん
皮膚へ水疱ができたり、表皮が剥がれて傷になる場合があります。
感染
傷へ細菌が繁殖し、赤み、腫れ、膿、悪臭、発熱などが生じる場合があります。
治癒の遅延
やけどの深さ、感染、糖尿病、血流障害などによって、傷の治癒に時間がかかる場合があります。
色素沈着・色素脱失
治癒後の皮膚が周囲より濃くなる、または白くなる場合があります。
肥厚性瘢痕・ケロイド
傷跡が赤く硬く盛り上がり、痛みやかゆみを伴う場合があります。
瘢痕拘縮
傷跡が縮むことで、関節や顔面などの動きが制限される場合があります。
知覚の変化
深いやけどでは、しびれ、感覚の低下、過敏症などが残る可能性があります。
追加手術
深いやけどでは、壊死組織の切除、植皮、傷跡やひきつれを改善する手術などが必要になる場合があります。

保険診療について

やけどは外傷に該当するため、診察、傷の処置、軟膏、創傷被覆材、必要な手術などは、診断と治療内容に応じて保険診療の対象となります。
初期治療
やけどの深さや範囲を診察し、洗浄、軟膏、創傷被覆材などによる治療を行います。
感染への治療
傷の状態に応じて、感染管理のための処置や薬剤を使用します。
傷跡への治療
痛み、かゆみ、盛り上がり、ひきつれなど、病的な傷跡に対する治療は保険診療となる場合があります。

保険適用の可否、使用する材料、処置内容、費用については、診察後にご案内します。

やけどに関するよくある質問

やけどをしたら、どのくらい冷やせばよいですか?
部位や範囲によって異なりますが、水道水などの流水で5~30分程度を目安に冷やします。小さなお子さま、高齢者、広範囲のやけどでは、低体温にならないよう注意が必要です。

氷や保冷剤で冷やしてもよいですか?
氷や保冷剤を皮膚へ直接長時間当てると、冷却による皮膚障害を起こす可能性があります。基本的には清潔な流水で冷やしてください。

服の上から熱湯をかぶりました。服は脱いだ方がよいですか?
皮膚へ張り付いている可能性があるため、無理に脱がず、衣服の上から流水をかけて冷やしてください。ただし、化学物質が付着した衣服は、周囲へ薬品を広げないよう注意しながら取り除く必要があります。

水ぶくれはつぶした方が早く治りますか?
ご自身でつぶさないでください。水疱を破ると、痛み、感染、治癒の遅れなどにつながる可能性があります。医師が状態を確認して処置を判断します。

痛みがないため、軽いやけどでしょうか?
深いやけどでは、痛みを感じる神経も損傷し、痛みが弱くなることがあります。皮膚が白色、褐色、黒色、硬い状態の場合は、痛みがなくても受診してください。

小さな低温熱傷は自宅で様子を見てもよいですか?
低温熱傷は見た目より深い場合があります。白色や黒色への変化、水疱、潰瘍、持続する痛みなどがある場合は、範囲が小さくても医療機関を受診してください。

市販の傷用パッドを貼ってもよいですか?
やけどの深さ、感染の有無、滲出液の量などによって適する材料が異なります。深さが分からないやけどや水疱がある場合は、自己判断で密閉せず診察を受けてください。

やけどの傷は乾かした方がよいですか?
浅いやけどでは、傷を適切な湿潤環境に保つ治療が行われることがあります。ただし、感染や壊死組織がある場合は処置が異なるため、傷の状態に合う治療が必要です。

やけどの傷跡は残りますか?
浅いやけどでは傷跡をほとんど残さず治る場合があります。深いやけどや治癒までに時間がかかった傷では、色素沈着、肥厚性瘢痕、ケロイド、ひきつれなどが残る可能性があります。

傷が閉じた後も通院が必要ですか?
深いやけどでは、傷が閉じた後に赤み、盛り上がり、かゆみ、ひきつれなどが現れる場合があります。傷跡の状態に応じて、継続的な管理をご案内します。

子どものやけども診察できますか?
ご相談いただけます。ただし、乳幼児の広範囲のやけど、顔や手足の深いやけど、全身状態への影響が考えられる場合は、専門医療機関をご案内します。

診察した日に処置できますか?
やけどは受傷後の早い診察と処置が重要です。状態に応じて当日に洗浄、軟膏、創傷被覆材などによる処置を行います。重症と判断した場合は、速やかに専門医療機関をご案内します。

新宿でやけどの治療をご希望の方へ

やけどは、受傷直後には浅く見えても、時間の経過とともに皮膚の損傷が明らかになる場合があります。特に水疱があるやけど、低温熱傷、白色や黒色に変化したやけどでは、早めの診察が重要です。
熱湯、油、蒸気、調理器具、暖房器具、湯たんぽ、使い捨てカイロなどによるやけどでお困りの方は、新宿かえで歯科・形成外科へご相談ください。
広範囲のやけど、顔や首のやけど、呼吸困難、意識障害、化学熱傷、電撃傷などの場合は、当院への通常予約を待たず、救急医療機関へご相談ください。