静脈内鎮静
INTRAVENOUS SEDATION
歯科治療への強い不安や恐怖心に配慮した治療方法です
静脈内鎮静法は、歯科治療への強い恐怖心や緊張、外科処置への不安、嘔吐反射などがある方に対して、点滴から鎮静薬を投与し、うとうと眠っているような状態で治療を受けていただく方法です。
歯科治療が怖くて通院を先延ばしにしてしまった方、親知らずの抜歯やインプラント治療などの外科処置に不安がある方、長時間の治療に強いストレスを感じる方も、まずはご相談ください。
このような方にご相談いただくことがあります
歯科治療に強い恐怖心がある
治療を受けたい気持ちはあっても、緊張や恐怖心が強く、通院そのものが負担になっている方。
治療中の音・振動・においが苦手
歯科治療中の音、振動、器具の感覚などに強い不安を感じる方。
外科処置への不安が大きい
親知らずの抜歯やインプラント治療など、外科処置に対して強い緊張がある方。
嘔吐反射が強い
奥歯の治療、型取り、器具が口の奥に入る処置が苦手な方。
静脈内鎮静法で大切になること
不安や緊張を軽減するための方法です
静脈内鎮静法は、歯科治療の恐怖心や緊張を和らげ、リラックスした状態で治療を受けやすくするための方法です。全身麻酔とは異なり、状態を確認しながら治療を進めます。
すべての治療を一度で終えられるとは限りません
鎮静を併用しても、かみ合わせの確認、神経の治療、左右の治療範囲など、治療後に確認すべき内容がある場合は、複数回に分ける必要があります。
事前の治療計画が重要です
鎮静を行う場合は、当日の治療内容だけでなく、治療全体の順序、回数、身体への負担、費用面も含めて計画を立てることが大切です。
静脈内鎮静法とは?

治療後は、投与をやめて数十分でお目覚めになります。“寝て起きたら治療が終わっていた”という感覚です。治療後、お目覚めになった際に「治療はこれからですか?」と仰る方が多いので、投与後から覚醒までの体感は一瞬に感じられる方が多いようです。
問題点は施術できる限界の時間と、回数です。
1. 施術時間
また、少ない麻酔薬で十分な眠りが得られる方もいらっしゃれば、意識が落ちにくく短時間施術にもかなりの投与量が必要な方もいらっしゃいます。こればかりはかけてみないと分からないところですが、おおむね、1回は3時間以内となるように施術内容を設定しております
2. 回数
一度ですべての施術を終わらせてほしい、というのは多くの患者様にいただくご要望ですが、途中で意識の確認ができないため、“かみ合わせ・使用感に違和感はないか”や、“色合い、形に問題がないか”ができず、治療が完遂できません。特に問題になるケースをいくつか例にあげます。
2-1. 治療の必要な部位が左右の両側に広範に広がっている場合
たとえば、鎮静を行いながら右側を治療して、かみ合わせが微妙に合わない仕上がりだったとします。その日のうちに左側を治療しようとすると、意識がある状態での確認の会話ができていないため、治療する側は患者様のかみ合わせが微妙に合わないことに気付くことができずに、そのまま左側を治療してしまうことになります。そうすると、左右どちらの違和感があるのかが分かりづらく、迷子になってしまい、噛む位置がよくわからなくなってしまいます。
広範に短期間で治療をすすめた方が顎関節症になったり、疲れやすくなったり、お食事が不便になったりすることがあるのもこれが原因です。左右いずれかのかみ合わせが合わないまま反対側に進んでしまうと、かみ合わせのバランスが迷子になり、どこを調整したら違和感がなくなるのかが分からなくなってしまうのです。
ですので、治療に鎮静を併用している、していないに関わらず、治療は原則として左右を分けて行うことが望ましいです。
2-2. 神経の治療
根管治療とも呼ばれる治療です。
一度で終わらせられるケースもなくはないですが、基本的には歯の神経が入っているお部屋は細かく枝分かれをしていて、きれいに痛みなく仕上げられるまでに2~5回程度は要します。麻酔がきれた状態で日常生活をおくっていただき、痛み等ないかを確認していただくのも大事な治療の行程です。なるべく回数がかからないように努力はいたしますが、難しいことがあるのもご理解いただきたいところです。
治療の難易度はこれまでの経緯をお伺いしたり、CT撮影をすることで判断ができますので、だいたいどの程度の回数になるかは事前にお話をさせていただきます。
Message
全部の治療にいえることですが、とくに鎮静を併用した治療では、事前の治療計画が非常に大切になります。いたずらに高額になることがなく、また、将来的に長持ちして、大掛かりな治療が人生でこれきりになることを意識しながら計画をたてております。
エピソード
しかし実際にはそうではなく、“歯科治療自体が怖すぎるので、全ての治療に併用したい”
“それでもお金に限りがあるから、一番治療回数が少なく、今後二度と治療を受けなくても済むようなかたちにしてほしい”
といったご要望をお持ちの方がかなり多くいらっしゃることがわかりました。

麻酔にはリスクがあり、ただものすごく便利なものというわけではありませんが、治療を終えられたあと、多くの方が“もっと早く相談に来ればよかった”とおっしゃいます。
痛くて怖くていいことがない治療のハードルを、少しでも低くできればと思ってこのメニューをご用意しております。
まずは一度、ご相談にお越しいただければと存じます。
静脈内鎮静法を併用しやすい治療
親知らずの抜歯
親知らずの抜歯は、処置そのものへの恐怖心や、抜歯中の音・圧迫感が不安につながりやすい治療です。特に埋伏歯や難症例では、静脈内鎮静法の併用をご相談いただくことがあります。
インプラント治療
インプラント治療は外科処置を伴うため、治療中の緊張をできるだけ軽減したい方に静脈内鎮静法を併用することがあります。治療範囲や本数、処置時間に応じて計画します。
長時間になりやすい歯科治療
複数の歯をまとめて治療する場合や、治療への恐怖心が強い場合は、鎮静を併用することで治療中の負担を軽減しやすくなります。ただし、治療内容によっては複数回に分ける必要があります。
嘔吐反射が強い方の治療
型取り、奥歯の治療、器具が口の奥に入る処置が苦手な方では、通常の治療が難しいことがあります。状態に応じて、静脈内鎮静法の併用を検討します。
静脈内鎮静法と全身麻酔の違い
| 静脈内鎮静法 | 全身麻酔 | |
|---|---|---|
| 意識の状態 | うとうと眠っているような状態で管理します | 意識がない状態で管理します |
| 呼吸 | 基本的に自発呼吸を保ちながら管理します | 人工呼吸管理を行う場合があります |
| 歯科治療での使われ方 | 恐怖心の強い方や外科処置などで併用されることがあります | より大きな手術や全身管理が必要な処置で行われます |
| 帰宅 | 院内で休んだ後、状態を確認して帰宅します | 処置内容や施設により異なります |
静脈内鎮静法は、全身麻酔とは異なります。治療中の不安や緊張を軽減しやすい方法ですが、身体への負担やリスクがないわけではありません。そのため、治療内容、全身状態、服用中のお薬、当日の体調を確認したうえで適応を判断します。
治療当日の流れ
体調確認・治療内容の確認
当日の体調、食事制限、服用中のお薬、治療内容を確認します。必要に応じて血圧や脈拍なども確認します。
点滴の準備
点滴を確保し、鎮静薬を投与できる状態にします。治療前に不安な点があれば、この段階で確認します。
鎮静薬の投与
点滴から鎮静薬を投与し、リラックスした状態へ導きます。状態を確認しながら治療に進みます。
歯科治療
鎮静状態を確認しながら、予定していた歯科治療を行います。処置時間や治療範囲は、事前計画に沿って進めます。
休憩・覚醒確認
治療後は院内でしばらく休んでいただきます。ふらつきや眠気の状態を確認し、帰宅可能か判断します。
治療前に確認すること
全身疾患・既往歴
高血圧、心疾患、糖尿病、呼吸器疾患、睡眠時無呼吸症候群、肝臓・腎臓の病気などがある方は、事前に必ずお知らせください。
服用中のお薬
血液をサラサラにする薬、睡眠薬、抗不安薬、精神科のお薬、降圧薬などを服用している場合は、薬剤名を確認します。
当日の食事・飲水
静脈内鎮静法を行う場合、治療前の食事や飲水に制限が必要になることがあります。具体的な時間は事前にご案内します。
帰宅方法
治療後は眠気やふらつきが残ることがあるため、ご自身での運転は避けていただきます。付き添いの方の有無も含めて確認します。
注意点・リスク
静脈内鎮静法は、歯科治療への恐怖心や緊張を軽減するために有用な方法ですが、医療行為である以上、リスクがないわけではありません。
治療後に眠気、ふらつき、だるさ、吐き気、血圧や呼吸状態の変化などが起こる可能性があります。また、体質や体調、服用中のお薬によって鎮静の効き方には個人差があります。
そのため、当日は無理な予定を入れず、治療後は安静に過ごしてください。異常を感じた場合は、早めに医院へご連絡ください。
よくあるご質問
静脈内鎮静法を行えば、治療中の記憶は残りませんか?
記憶が残りにくい方もいますが、すべての方で完全に記憶がなくなるわけではありません。鎮静薬の効き方には個人差があります。
一度ですべての治療を終えられますか?
治療内容によります。かみ合わせの確認や神経の治療など、複数回に分けた方が望ましい治療もあります。
当日に車を運転して帰れますか?
静脈内鎮静法を行った当日は、車・バイク・自転車の運転はできません。公共交通機関、タクシー、付き添いの方による送迎をご検討ください。
歯科治療への恐怖心が強い方も、まずはご相談ください
静脈内鎮静法を使うべきか、通常の治療で進められるか、どの治療を優先すべきかは、お口の状態と全身状態を確認して判断します。無理に治療を進めるのではなく、治療計画から一緒に整理していきます。
