むし歯
むし歯治療とは
1. むし歯の進行度と治療方針
まだ穴があいていないむし歯の初期段階のことをいいます。症状はありません。削るような治療が必要な状況ではありませんが、ほかの部分よりもむし歯で穴が開く危険の高い部分なので、フッ素塗布による再石灰化をうながす治療が望ましいです。
1-2. C1(エナメル質のむし歯)
C1は、むし歯がエナメル質の範囲のみにとどまっている状態です。痛みは出ません。むし歯部分を削り、コンポジットレジンという歯科用樹脂を詰める治療が一般的です。
1-2. C2(象牙質まで進行したむし歯)
C2は、むし歯がエナメル質を越えて象牙質まで進行した状態です。象牙質はエナメル質に比べて柔らかいため、ここからむし歯の進行スピードが速くなります。冷たいものや甘いものを食べると歯がしみることがあります。むし歯部分を削り、大きさに応じてレジンや金属、セラミックを用いた修復治療を行います。通常、1-2回程度で終了します。
1-3. C3(歯髄まで進行したむし歯)
C3では、むし歯が歯の神経(歯髄)にまで達している状態です。冷たいもの、熱いものが強くしみる、何もしなくても痛みがある(自発痛)等の症状が出ます。
この状態では、神経を取り除く「根管治療(根の治療)」が必要となります。その後はなくなってしまった部分を補うため、被せ物を作製し、歯の機能を回復させます。
通常、4-8回程度の治療回数を要します。
1-4. C4(歯冠が崩壊したむし歯)
C4は、歯の大部分がむし歯によって崩壊し、歯の根の部分のみが残っている状態です。この場合、歯の保存は不可能ですので、抜歯が必要になります。
歯周病
歯周病とは
歯周病は、歯を支えている歯ぐきが腫れたり、骨がとけてしまったりする病気です。2001年には「世界で最も蔓延している病気」とギネス記録認定されました。日本では成人の約80%が発症していると言われており、その影響は口腔内の健康にとどまらず、全身の健康にも深刻な影響を及ぼすことが知られています。
この病気の怖いところは、基本的には無症状であることです。痛み、腫れ、歯のぐらつきが出てきたときには、歯を残すことが難しくなっているケースが多くみられます。
2. 歯周病の原因
2-1. 細菌
一つ目にあげられるのは、直接因子である細菌です。
細菌因子としては、歯の表面に付着するプラーク(歯垢)があります。プラークの70%は細菌でできています。治療は、まずこれらを除去することからスタートします。
2-2. 汚れのつきやすい環境
二つ目は、宿主因子とよばれる、“汚れのつきやすい環境”です。歯並びの悪いところや、むし歯、合っていない詰め物、被せ物など、磨きづらく汚れが停滞しやすい部分に、1⃣で挙げた細菌が増えて、歯周病が悪くなっていきます。
宿主因子には、その他に、
・歯石 歯石は表面がざらざらなので、プラークが付着しやすい
・虫歯 虫歯によって空いた穴にプラークが入り込みやすく、歯ブラシで取りづらい
・深い歯周ポケット ポケット内に歯ブラシなどが届かないのでプラークが停滞しやすい
などが挙げられます。とにかく“汚れのつきやすく、残りやすい部分”のことです。こちらも歯周病の治療で除去していき、セルフケアでもきれいに保ちやすい環境を作っていくことが大切です。
2-3. 生活習慣、環境
三つ目は、環境因子です。
ここには喫煙やストレス、栄養障害、肥満、薬物、経済環境などが含まれています。
歯周病の起炎菌は酸素が嫌いなものが多いのですが、喫煙をすると、歯肉の血流が悪くなってしまうため、酸素が不足し細菌にとって良い住環境になってしまいます。また、免疫反応も低下してしまうため、この良い環境でパワーアップした細菌たちに身体が勝ちづらくなり、どんどん細菌が増えていってしまいます。
また、心理的・肉体的にも強いストレスがかかると、噛み締めが増えることが多いです。昼夜問わず歯ぎしり、食いしばりが起きることにより、歯のまわりの組織にも負担がかかり、歯周病菌に対抗する力が落ちてしまいます。
もっともよく起きる例をふたつ挙げましたが、他にもたくさんの環境因子になるものはあります。色々なことが積み重なって、歯周病が発症・悪化してしまいます。
3. 歯周病の症状
歯周病の初期にもでてくる、最も多くみられる症状です。
歯周病菌の出す毒素を、身体が薄めたり、流し出しやすくするために身体が免疫反応で出血させています。歯を磨いて血が出るときは、歯茎を傷つけて出血しているケースは少なく、歯周病によって歯ぐきが腫れて出血しやすい状態になっていることが多いです。なので、血が出やすいからといってやさしく磨いたり、避けたりしていると、出血はさらにひどくなってしまいます。きちんと汚れを除去してあげる必要があります。
・歯のぐらつき
末期の症状です。
歯石がつくと、身体はその細菌が出す毒素から距離をとりたいので、免疫反応で自分で骨を壊していきます。そうすると歯石が深いところについて、身体はさらに骨を溶かし、ということが続いていき、どんどん歯を支えている骨がなくなり、浅い土のなかに大きな木が立っているようなイメージでグラグラと揺れてきて、ゆくゆくは歯石だらけになった歯を身体は“自分の一部の歯”ではなく、“歯石(=異物)の塊”と認識して身体から追い出そうとします。そうして自然に抜けてきてしまう、というメカニズムです。
4. 歯周病の治療
4-1. 検査
歯周病の原因、治療の必要性、管理方について説明をしてお口全体の状態を検査をして把握します。
4-2. 歯周基本治療
歯周病の最大の原因であるプラークを減少させ、炎症を軽減させる為の治療です。具体的にはスケーリング(歯石の除去)やブラッシング、フロッシングの指導、歯石が歯周ポケットの中にも付着している場合にはSRP(歯周ポケット内の歯石除去)を行います。
4-3. 再評価
歯周基本治療終了後、それによりどの程度の治療効果が得られたのかを評価します。
評価によって、改善されていればメインテナンスなどに移行したり、今後の治療計画を決定したりします。
4-4. 歯周外科治療
歯周基本治療で十分に治らなかった部分は外科手術を行い、歯周ポケットを少なくしていきます。(詳しくは後述します)。
4-5. 再評価
歯周外科治療後の評価をします。
これによりメインテナンスに移行するか、再治療か否かを判断します。
歯周病の治療は、基本的には保険診療内で行うことができます。
回数は歯周病の進行状態や、歯石の量によってそれぞれ異なってきますので、都度こちらから目安をお伝えし相談しながら行っていきます。
5. 歯周外科手術(再生療法を含む)
歯周組織再生療法
歯を支えている骨を失ってしまった場合、状況に応じて特殊な材料を用いて組織を再生する治療を選択することができます。当院では、以下の二種類の薬剤のうちいずれかを選択することができます。
- リグロス
保険収載されている薬剤です。
やけどなどで失った皮膚の再生に使用されている薬剤と同じ成分でできています。
トラフェルミンとも呼ばれ、主成分は「bFGF」というタンパク質です。この「bFGF」は、骨や筋肉などの細胞の増殖や分化を促して、成長させることができます。また、血管を新たに作り出す作用(血管新生作用)もあるため、歯ぐきやあごの骨といった歯を支える組織をしっかりと再生させることができます。 -
エムドゲイン
こちらは保険適応外の薬剤になります。
主成分は「エナメルマトリックスデリバティブ」と呼ばれるタンパク質です。子どもの頃、歯が生えてくる時に重要なタンパク質の一種で、不溶性タンパク質のマトリックスを形成します。このマトリックスは歯の根の表面に2~4週間とどまり、選択的な細胞の定着、増殖と分化を可能にします。
成長力の強い子どもの頃の成分で組織の再生を促す材料です。
まとめ
根管治療
根管治療とは

また、根管治療のみで治らないような場合は外科的歯内療法を行います。患者様の歯をできる限り残すための治療が歯内療法です。
主な歯内療法の内容

①生活歯髄療法
歯の神経を温存する治療です。
神経と接するくらいの大きな虫歯でも、状態によって神経を残せる場合があります。

②抜髄治療
細菌感染により、神経の保存ができない場合に神経を取り除く治療です。

③感染根管治療
神経が感染を起こし不可逆的な変化を起こした場合、根管内の汚れや神経を取り除く治療です。

④再根管治療
既に根管治療された歯が、被せ物の隙間から感染を起こし汚れて症状が出た場合、改めて再治療をして汚れを取る治療です。

⑤外科的歯内療法
通常の歯内療法で回復しない場合、歯ぐきを切開して外科的処置により直接病巣を除去する治療です。
使用機器

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
歯科用マイクロスコープは、肉眼と比べて視野を約20倍まで拡大できる歯科用の顕微鏡です。歯の治療の際に、より精密な治療を行うために使用されます。根管は解剖学的に複雑な形態をしており、肉眼では根管内を隅々まで治療するには限界があります。
昔と比べ、マイクロスコープは歯科医院に普及しましたが、現在もマイクロスコープを設置せず治療している病院は多数存在します。当院ではマイクロスコープを設置し、より精密な治療を患者様に提供できます。ぜひご来院、ご相談をお待ちしております。

歯科用CT
当院のモリタ社製Veraview X800は、撮影範囲をΦ40xH40に設定でき、ボクセルサイズ80µm、2.5LP/mm以上の高解像度CT撮影を行うことができます。歯科領域で最も細かい、根管治療前の検査に最適の装置です。
このCTを用いて事前に根管の形態や病巣の大きさを把握し、余分に切削を行うことなく、必要な治療を的確に行っていきます。
自由診療 米国式根管治療
上記設備を用いた根管治療は、保険診療でも承っておりますが、特にご希望がある場合や、根管形態から通常の治療法では保存が見込めないケースなどでは、自由診療での根管治療をおすすめする場合があります。
歯内療法 | |
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根管治療 前歯 | 110,000円(税込) |
根管治療 小臼歯 | 132,000円(税込) |
根管治療 大臼歯 | 154,000円(税込) |
歯根端切除 前歯 | 132,000円(税込) |
歯根端切除 小臼歯 | 154,000円(税込) |
歯根端切除 大臼歯 | 176,000円(税込) |
ラバーダム防湿
根管治療の成功には、治療中の無菌環境が重要です。ラバーダムというゴムシートを使って、治療中に唾液や細菌が根管内に侵入しないようにする方法を「ラバーダム防湿」と呼びます。ラバーダム防湿を行うことで、治療中の感染リスクを大幅に低減し、安全で確実な治療が行えます。
ニッケルチタンファイルの併用
根管の内部を清掃する器具の一つである「ニッケルチタンファイル」は、柔軟性が高く、非常に複雑な根管の形状にも対応できるため、従来のステンレスファイルに比べて優れています。このファイルを併用することで、強く曲がっている・狭くなってしまっている等で治療の難しい根管を、より安全で効率的にきれいにしていくことができます。
MTAセメントを用いた根管充填
きれいにした根管は、最後に抗菌性の樹脂を用いて封鎖していきます。これを「根管充填」と呼びます。
保険診療内で行う根管充填では、ゴムを主成分とした素材で封鎖を行いますが、材料が経年的に劣化していき、隙間や空洞ができてしまうことで、再感染を起こすリスクがあります。
そこで、根管充填に化学的にも物理的にもより安定した「MTAセメント」を用いることで、このリスクを低減することができます。
根管治療専門医
根管治療は非常に難易度の高い治療です。同じ器具や材料を揃えただけでは、場数を踏んだ知識のある専門医のドクターが行う治療の精度にはおよびません。
非常勤にはなりますが、当院には東京医科歯科大学 医歯学総合研究科歯髄生物学分野博士課程を修了され、同大学や各地で研鑽を積まれたドクターが、最高の材料をもって治療にあたります。
これまでに根管治療を行って再感染してしまった歯、他院では抜歯と言われてしまった歯などでお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。
親知らずの抜歯
1.親知らずとは
2.親知らずの生える理由
2-1.親知らずの成長過程
親知らずは通常、10代後半から20代前半にかけて生え始めます。その成長過程は個人差がありますが、歯茎の中で正常に生えない場合や、横向きに生えることがあります。これにより、他の歯や顎に影響を及ぼし、痛みや不快感を引き起こすことがあります。
3.親知らずを抜歯する理由
3-1.位置の不正
親知らずが正常に生えない場合、他の歯に押し付けてしまうことがあります。このような場合、歯並びが悪くなる原因となるため、抜歯が推奨されます。
3-2.歯肉炎
親知らずが部分的に生えている場合、歯茎の上に食べ物が挟まりやすく、炎症を引き起こすことがあります。これを「智歯周囲炎」と呼び、抜歯が必要です。
3-3.虫歯のリスク
親知らずは磨きにくい位置にあるため、虫歯になりやすいです。虫歯が進行すると、周囲の歯に悪影響を及ぼす可能性があるため、早期の抜歯が推奨されます。
4.親知らずの抜歯の流れ
4-1.初診と診断
まず、歯科医師による診断が行われます。X線を使って親知らずの位置や状態を確認し、抜歯の必要性を判断します。
4-2.麻酔
抜歯の前に局所麻酔が行われます。麻酔の効果で痛みを感じることなく、リラックスした状態で手術が進められます。
4-3.抜歯手術
麻酔が効いたら、歯科医師が親知らずを抜歯します。通常は、歯肉を切開し、骨を少し削ってから歯を取り出します。この際、親知らずの状態によっては手術が複雑になることもあります。
5.抜歯後のケア
5-1.出血の管理
抜歯後は出血が見られることがあります。ガーゼを噛むことで圧迫し、出血を抑えます。出血が続く場合は、歯科医院に連絡しましょう。
5-2.食事の注意
抜歯後24時間は、柔らかい食事を心がけ、刺激の強い食べ物や熱い飲み物は避けるべきです。抜歯した部分が落ち着くまで、なるべく慎重に食事をすることが大切です。
5-3.口腔衛生
抜歯後の口腔衛生も重要です。ただし、抜歯した部分に直接ブラシをかけるのは避け、口をゆすぐことから始めましょう。2〜3日後から通常のブラッシングを再開します。
6.親知らず抜歯のリスク
6-1.痛みや腫れ
抜歯後は一時的に痛みや腫れが生じることがありますが、通常は数日で改善します。痛みが長引く場合は、医師に相談してください。
6-2.感染の可能性
抜歯後に感染が起こることがあります。特に、適切なアフターケアを行わない場合、炎症や膿が発生する可能性があります。
7.親知らずの抜歯を避ける方法
7-1.定期的な歯科検診
定期的な歯科検診を受けることで、親知らずの生え方や口腔内の状態を把握し、適切なアドバイスを受けることが可能です。
7-2.歯の健康管理
毎日の口腔ケアや健康的な食生活を心がけることで、親知らずの影響を最小限に抑えることができます。
8.親知らず抜歯の重要性
9.まとめ
FAQ
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